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湧水

羊蹄山麓名水のメカニズム

1985年、環境庁(当時)は日本の名水100選を選びました。北海道から選ばれた3箇所のひとつは、京極町の羊蹄山噴き出し湧水でした。これは、羊蹄山をつくる安山岩の溶岩の中から地下水が湧き出ているものです。京極の湧水の特徴は、名水たるゆえんの水のおいしさもさることながら、湧水量の多さです。1日におよそ80,000トンもの地下水がとぎれることなく湧き出てくるのです。湧水量の多さは、真狩の湧水にも共通しています。これは一体どんなメカニズムによることなのでしょうか。火山は、溶岩や火山灰などからできていますので、羊蹄山に降った雨は、隙間の多い溶岩や火山灰の中に浸み込み、地下水となります。火山の中を透過するように浸み込んだ水は、水通しの悪い粘土質の地層で浸透がブロックされ、標高250m前後にある溶岩と粘土層の境目付近で地表に流れ出てきます。これが、羊蹄山麓周辺の湧水の基本メカニズムです。羊蹄山麓には、2,000トン/日以上の湧水量を示す湧水が、他にも17箇所あり、あわせて1日に30万トンも流出しています。また、南東半分の6箇所の湧水は、合わせて羊蹄山全体の70%を超えています。この不均衡は、火山内部のようすが東西に対称でないことに起因しています。(『北海道自然の話』所収の和田信彦氏の論文)また、南東半分の6大湧水は、北西半分と比較して多量の地下水が速い速度で流下する結果、水温が低く主要成分も濃度が低いのが特徴です。つまり、南東半分では、成分濃度の低い河川水型の水質が特徴であり、反対に北西部では、成分濃度がより高い地下水型の水質となっているのです。
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