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尻別川

尻別川の河畔林

河畔林とは川辺にある森林のことで、河川の生態系を考えたとき重要な役割を果たしています。尻別川の河畔にはタチヤナギ、エゾノカワヤナギ、ハルニレなどの樹木、エゾミソハギ、エゾアジサイ、ガマズミ、ヤマブキなどの草花が分布しているほか、水中にはバイカモも見られます。そしてハマハコベやオニスゲ等、着目すべき種も確認されています。その植生は洪水などにより地形とともに常に変化していきます。河畔林は河川改修工事などにより以前よりも減少してきていますが、尻別川の特に倶知安からニセコの区間は川原が非常に少なく切り立った河岸には川面ぎりぎりまで鬱蒼とした河畔林が茂っています。その地形と相俟って野趣あふれる独特の景観を作り出しています。河畔林の役割には、日光遮断、落ち葉などの有機物供給、倒木・流木供給、細粒土砂補足、栄養塩除去、水生生物への生息場提供、陸生生物への生息場提供などが考えられます。河畔林から供給される落ち葉などは水生昆虫の餌となり、水生昆虫は魚類の餌となります。また、魚や川の周辺に生きる動物たちにとっての大切な生息場所を作る河畔林は、河川の生態系を支える非常に重要な存在であることがわかります。一方、河畔林は洪水時に流れを妨げ、流木が橋脚に負荷を与えるなどの問題を引き起こすため、治水対策として伐採されることがあります。尻別川では生態系や景観と、治水対策のバランスを考えてどのような管理の方法が適切なのかを考えていくため、しりべつリバーネットなどが中心となって住民参加のもとに検討が行われています。

尻別川に生息する水生生物

尻別川は延長129km、流域面積約1,640平方kmという大河で、全国一級河川の中で7回清流日本一に選ばれたこともあるほど良好な水質の川です。そこには幻の魚といわれるイトウをはじめとする多くの生き物たちが暮らしています。下流域ではヤツメうなぎが漁業の対象にもなっており、一時は年間100トンを超える漁獲高があったときもありました。かつては、まるで海底に揺れる昆布のように、たくさんのヤツメが泳いでいたといわれます。この大河は生物の生息場所としてだけでなく、多くの恵みも与えてくれます。一般に豊かな環境では食物連鎖の頂点にたつ大型の生物が暮らしていくことができます。かつて尻別川には、巨大なイトウが数多く生息していたと言われています。尻別川のイトウはアイヌの人々にオビラメと呼ばれ、チライと呼ばれる他の河川に棲むイトウとは区別されていました。他の河川とは違う特徴を持つほどのイトウ個体群を養うことができるということは、それだけの包容力をもった自然環境がそこにはあったということでしょう。しかし現在では絶滅寸前となってしまったことを考えると、環境や生態系が大きく変化してきていることがうかがわれます。尻別川で見られる主な魚類は、サケ、サクラマス、アメマス、アユ、カワヤツメ、ヤマメ、ウグイ、フクドジョウ、ハナカジカ、コイ、イトウ、オショロコマなどです。その他にも、エゾサンショウウオなどの両生類、カワシンジュガイなどの底生動物も数多く見られます。尻別川にもブラウントラウト、ニジマスなどの移入種が生息しています。特にブラウントラウトは、在来種に影響を与える恐れがあり問題視されています。
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